がん治療

がん免疫細胞療法「BAK療法」の特徴とDCハイブリッド療法との併用

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放射線療法と相性の良い免疫細胞療法には、いくつかの種類があります。
その中に「BAK療法」と呼ばれる免疫細胞療法があります。
そこでBAK療法の特徴と、DCハイブリッド療法との併用についてご説明します。

BAK療法とDCハイブリッド療法との併用

BAK療法で患者さんの体内に戻されるのは「がんの殺し屋」

BAK療法では、患者さんから採取した「がんの殺し屋」を増殖・活性化させて体内に戻します。

「殺し屋」と聞くとちょっと怖い感じがしますが、がんをやっつけてくれる頼もしい攻撃隊です。
この「殺し屋」の正体は、ガンマ・デルタT細胞とNK細胞という免疫細胞です。
二つを合わせて、ガンマ・デルタT細胞と総称することもあります。

血液の中を流れるリンパ球患者さんから採取する、培養用の血液20mlの中に含まれるリンパ球の数は約3000個です。
※ガンマ・デルタT細胞もNK細胞もリンパ球に含まれます。

この3000個を2週間かけて培養すると、その数は約100億個まで増えます。
もちろんすべてがBAK細胞というわけではありません。その割合は、全体の7割強と言ったところです。

ここまで増やした細胞を患者さんの体内に戻して、BAK治療はひと段落です。

ガンマ・デルタT細胞とアルファ・ベータT細胞の違い

免疫の中で攻撃を担当するT細胞には、「ガンマ・デルタT細胞」と「アルファ・ベータT細胞」があります。
BAK療法で使うのは、先ほどもお伝えした通り、「ガンマ・デルタT細胞」です。

  • ガンマ・デルタT細胞は、ガンマ・デルタT細胞とNK細胞の総称
  • アルファ・ベータT細胞は、キラーT細胞とヘルパーT細胞の総称

二つの違いを見るために、まずはアルファ・ベータT細胞に注目しましょう。

アルファ・ベータ細胞とは?

アルファ・ベータT細胞の「キラーT細胞」と「ヘルパーT細胞」のうち、がんをやっつけるのはキラーT細胞です。
キラーT細胞は、がんの目印(HLA-I)と抗原を同時に認識した時だけ、がんを攻撃します。

ところが困ったことに、キラーT細胞から攻撃を受けたがんは、その目印(HLA-I)の70%を引っ込めにかかるのです。
HLA-Iを目印に攻撃を仕掛けるキラーT細胞は当然攻撃対象を失います。単純計算で30%にまで攻撃力が弱まります。

ガンマ・デルタT細胞とは?

ここに強みを持つのがガンマ・デルタT細胞。
増殖・活性化したガンマ・デルタT細胞は、たとえがんがHLA-Iを引っ込めたとしても、だまされません。
目印を引っ込めて正常細胞のふりをしているがん細胞であっても、異常な細胞としてしっかり攻撃する能力を持っています。

アルファ・ベータT細胞とガンマ・デルタT細胞の違いは?ガンマ・デルタT細胞にとって、MIC/AやMIC/Bといったがん抗原も攻撃対象。
HLA-I面での攻撃も合わせて二面攻撃を仕掛けることができるのがもう一つの特徴です。

さらにガンマ・デルタT細胞を魅力的にするのが、その生存期間の長さです。
ガンマ・デルタT細胞(NK細胞を除く)は、身体に戻して4週間後でもかなりの数が残っていることが分かってきています。効果の持続性が高いということです。

ガンマ・デルタT細胞が体内に残っているうちに、BAK療法を2回目、3回目と繰り返していく毎に体内のガンマ・デルタT細胞が増え、その効果はどんどんと高まっていくと考えられています。

BAK療法とDCハイブリッド療法との併用の理由

免疫療法に力を入れている医療機関では、BAK療法とDCハイブリッド療法との併用が行われています。

DCハイブリッド療法は、7種類の免疫細胞を増やす免疫細胞療法です。
核となるのは、ワクチン化された樹状細胞。
ナイーブT細胞を教育し、攻撃すべきがんの特徴を教えて成熟させる力を持っています。

樹状細胞について詳しくはこちら

がん最新治療・免疫細胞療法で重要な役割を果たす「樹状細胞」とは?

ところで

「ガンマ・デルタT細胞が優秀なら、ほかの免疫細胞療法はいらないのでは?」

と思われる方もいるかもしれません。

もちろんガンマ・デルタT細胞は優秀です。
しかし、がんもただ攻撃されっぱなしではありません。あの手この手でなんとか攻撃を逃れようとします。
逃げられても、別角度から――、そんな考えが併用の理由です。

樹状細胞、キラーT細胞、ナイーブT細胞、ガンマ・デルタT細胞、NK細胞……。
二つの免疫細胞療法を組み合わせることで、がんを攻撃する免疫細胞のフルメンバーが揃います。
それぞれ得意分野の違う兵士たちが揃った、巨大な軍隊の完成です。

がん治療のフルメンバーとは

まとめ

BAK療法とDCハイブリッド療法に加えて、トモセラピーを活用した高度放射線治療も組み合わせている医療施設もあります。

療法の壁のとらわれず、様々な治療法を上手に組み合わせることも、がんと闘う上で大切なことです。
より多くの医療施設でBAK療法やDCハイブリッド療法といった免疫細胞療法、そしてトモセラピーやサイバーナイフと言った放射線療法が受けられるようになればいいですね。

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