がん治療

免疫力の低下に要注意! がん治療に効果的な「免疫細胞療法」とは

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「高齢者や乳幼児は免疫力が低いから感染に注意を……」
「免疫力が低いので風邪をひきやすい……」

このように、私たちは日常的に「免疫」という言葉を使います。
免疫とは「身体の外から侵入してくる細菌やウイルスから体を守るもの」ということを感覚としてわかっていても、さらに詳しい仕組みまで知っている人は多くないと思います。

実は、免疫は、外から入ってくる細菌やウイルスに対してだけ働くものではありません。
人間の体内で生まれる「がん」も、免疫と深い関係があるのです。

今回は「がん自体が患者さんの免疫力を下げる」という話から、がん細胞と免疫細胞の関係、そしてがんの免疫細胞療法について説明します。

がんと免疫の関係とは?

がんの免疫抑制とは

がん患者さんの免疫はブレーキがかかったような状態になっています。ブレーキをかけているのはがんになると増える「免疫抑制細胞」というもの。
専門用語ではこのように免疫にかかるブレーキのことを「免疫抑制」と言います。

免疫の構造そもそも、がんの発症は免疫力と深くかかわっています。

実は健康な時でも、私たちの体内では、1日に3,000~5,000個ものがん細胞ができています。
それでも、すべての人ががんになるわけではありませんね。これは、免疫力が働き、がん細胞を日々処理してくれているからです。

逆に言えば、免疫力の低下こそが、病気としての「がん」を発症するきっかけです。
免疫力が低下してがんを発症し、がんによって免疫が抑えられた患者さんは、治療中もずっと免疫力にブレーキがかかったままの状態になっています。

がん治療のためには免疫力アップが欠かせない

フランスの研究グループが、科学雑誌『ネイチャー』に寄せた報告は、とても興味深いものでした。
その報告では、正常なマウスと免疫不全マウス(免疫を働かないようにしたマウス)それぞれにがん(乳がんや大腸がん)を植えつけて、放射線療法をおこなっています。

もちろん、正常なマウスでは、放射線療法によってがんが小さくなりました。
ところが、免疫不全マウスは、同じように放射線を照射しても、がんが小さくならなかったのです。

これは「免疫力が低下しているとがんの治りが悪い」ということを示唆しています。

どうやらがんの治りやすさは免疫力と関係しているらしい。

免疫力が低下すると・・・この考えのもと、「いかにがん患者さんの免疫力を高めるか」という研究が積み重ねられました。

当初のチャレンジの一つに、「外からの刺激で免疫力を活性化しよう」というものがありました。

患者さんの身体の外から、薬などを使って免疫力を活性化する方法が試行錯誤されました。
しかし、残念ながら期待するような効果はなかなか上がってきませんでした。
がんが免疫抑制細胞を使って免疫細胞にかけるブレーキは強力で、身体の外からの刺激では太刀打ちできなかったのです。

こうした試行錯誤のなか生まれたのが、次に取り上げる「免疫細胞療法」でした。

発想の転換から生まれた免疫細胞療法

外から患者さんの免疫力を高めるのが難しいなら、免疫細胞を取り出してみよう

そんな発想の転換から生まれたのが免疫細胞療法です。

免疫細胞療法は血液を利用する免疫細胞療法では、患者さんの血液からリンパ球を採取し、身体の外で増殖・活性化させて、再び患者さんの体内に戻します。
LAK療法、CD3-LAK療法(アルファ・ベータT細胞療法)、TIL療法等々……、いくつもの療法が開発され、免疫細胞療法は大きな期待を背負ってスタートしました。
ですが、なかなか成果を上げられない歴史が続きました。

現在、数ある免疫細胞療法の中で、治療実績からも、理論的にも信頼できる治療法として認められているのが、次の2つです。

  • BAK療法
  • DCハイブリッド療法

BAK療法ガンマデルタT細胞とNK細胞を使った療法、DCハイブリッド療法は6種類の免疫細胞と新樹状細胞ワクチン療法を組み合わせた療法です。

それぞれの療法について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
免疫力が高いとがんをやっつけられる? 最新の免疫細胞療法とは

増殖・活性化され、患者さんに戻された免疫細胞は、血液やリンパの流れに乗って全身をパトロールします。
血液の中を漂うがん細胞も画像に写らないような小さながんもしっかり攻撃してくれます。

免疫細胞療法でがん治療の向上が期待される

まとめ

画像でとらえられるがんには強い放射線治療も、体内のどこにあるのかわからないようながんには太刀打ちできません。
免疫力が高まれば、放射線治療の効果も高まりますし、放射線では攻撃できない小さながん細胞も減らせます。
また、どちらも入院を必要としない、生活に負担の少ない治療です。

放射線治療と免疫細胞療法の両者に力を入れる医療機関が今後増えると期待しています。

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